2007年01月26日

八幡川だよりA

広島県西部の探鳥地・八幡川の話題をお届けしています。1981年の広島県支部創設以来深く係わってきた八幡川河口の人口干潟と隣接する埋立地に来る数多くの野鳥と自然環境は私たちにとって大切と考えるからです。
今回はかっての八幡川、埋め立てがされる前の野鳥を中心とした話題です。

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1974年12月に約3年間の調査記録をまとめた「広島湾八幡川の鳥類」(大藤・日比野)に以下のようなデータが記録されています。
〜 冬季のカモ類の最大羽数羽は2300〜2600羽が安定して見られる。また、八幡川河口周辺で11目26科111種、1亜種が観察された。その中には西日本では珍しく、なかなか見られないコクガンやヒシクイなどがいる。そのほかにシロエリオオハム、アカガシラサギ、セイタカシギなど日常見られない希少種が観察された。

他に主に河口の干潟を利用するシギチドリ類では、繁殖(コチドリ、シロチドリ、イカルチドリ)、越冬(ダイゼン、ハマシギ、タカブシギ、タシギ、イソシギ)中でもハマシギは、3月下旬から4月下旬の春の渡り時期に1000羽が観察される。
〜 現在では想像できない数のハマシギの群舞が河口干潟で見られていました。八幡川は「全国で観察される総数の1%以上が観察される可能性のある場所」に該当し、シギチドリ類渡来湿地目録に「シギ・チドリ渡来地」として選定されていた時期があります。また、春秋の渡りの時期には、メダイチドリ、ムナグロ、タゲリ、キョウジョシギ、トウネン、ウズラシギ、ヒバリシギ、オコバシギ、オバシギ、エリマキシギ、キリアイ、ツルシギ、アオアシシギ、キアシシギ、ソリハシシギ、オグロシギ、オオソリハシシギ、ホウロクシギ、チュウシャクシギが記録されています。

しかし八幡川は、干潟を利用するシギ・チドリより、冬季に3000羽近いカモの群が河口に集う場所として話題に上ることの方が多かった印象があります。八幡川を代表するカモのヒドリガモが、大好物であるアオサの藻場となっている八幡河口、ならびに五日市側の現在は埋立地の陸地となっている広い干潟上で、アオサを食べる密集した群れを堤防上から観察することが出来たからです。

80万都市(当時)広島市にごく近いこの地に埋立計画が出現した際、これら八幡川近辺に生息する豊富な野鳥の存在が評価され、埋立計画と野鳥の生息する環境保全との調整事項としての人工干潟造成と野鳥園計画に繋がりました。

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次回以降、干潟造成の経緯や支部も参画した干潟造成検討委員会、そして野鳥飛来数の変化などを述べることにします。

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2007年01月25日

八幡川だより@

森の新聞から転載いたします。



今月から、広島県西部の探鳥地・八幡川に関連する話題や記事を、森の新聞誌上に「八幡川だより」としてお届けします。八幡川河口の人口干潟や隣接する埋立地が、これからよりよい形になるために、1981年の支部創設記念第1回探鳥会から毎月1回の探鳥会を続けてきた広島県支部が、この付近の野鳥と野鳥の来る自然環境について、今まで以上に係わっていく必要があると考えるからです。( 日比野・堀江 )

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詳しい過程は次回以降に述べさせていただくとして、今日の八幡川河口および五日市埋め立て地の状況に至るおおよその経過を今回は述べます。

1960年代(昭和30年)、広島県は滋賀県と並び、全国に先駆けて「水鳥の捕獲禁止条例」を施行しました。その結果、八幡川河口は3000羽を越すヒドリガモの群れが集まる場所となりました。県東部芦田川や松永湾と並ぶ探鳥地として知られるようになり、野鳥保護区に指定されました。

その後、産業廃棄物・建設残土の運び入れ用地として、都市近郊の港湾整備用地として、さらに都市近郊の住宅緑地用地として埋め立てが計画されました。この埋め立ては経済採算性一本やりの計画でなく、地域・マスコミの声を反映し、さらに自然保護団体の意見を入れて「人工干潟造成」と「野鳥園造成」を織り込んだ計画が、時の知事の英断もあって立案されたと聞いています。(その後の、支部も参画した干潟造成検討委員会や干潟造成の経緯、野鳥飛来数の変化などは、次回以降に詳しく述べることにします。)

埋め立ては1987年(昭和62年)に着工され、

(1)
人工干潟については、埋め立てとセットになるものであるため、1990年(平成2年)に、またみずとりの浜公園も都市公園として完成しました。
(2)
一方野鳥園は産業廃棄物の運び入れが進み、埋立地の完成と同時に完成するとの計画でした。しかし当初約10年で廃棄物が運び入れられて完了する予定であった埋め立ては、「空白の10年」といわれた長期的な経済の低迷により、埋立地を利用する廃棄物の搬入期間が大幅に延長されることとなりました。
この間に、埋立地内に広大で良好な自然環境が出現しています。

 埋立地は、護岸仕切りにより海との水の行き来が遮断され、内部に区画化された水面が出現しました。そして廃棄物の運び入れによって徐々に水面は埋め立てられ、陸地化していきました。
現在、一番海側におよそ500m×1000mの広大な淡水の水面が残されています。この水面を、毎月1回定期的に探鳥会で観察しています。八幡川の野鳥の多くはここに依存しているといっても過言でありません。冬季のカモのほとんど、カイツブリやオオヨシキリなど夏季に繁殖する野鳥も、この水面と水面周辺のアシ原に依存しています。

 埋め立て完成までの一時的に出現した水面とはいえ、10数年にわたって良好な自然環境が復元・再生した状況となっています。埋立地内に残された広大な水面の保全が全面的にはなされないとしても、原計画にある「野鳥のための自然公園7.5ha以上」を確保することが出来ないものでしょうか。

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